UAE後の妊娠・出産~最新のデータから~

http://pubs.rsna.org/doi/abs/10.1148/radiol.2017161495

UAE施行時の平均年齢35.9歳で妊娠率が40%というのはかなり驚異的な数字。

しかもUAE施行後ほぼ2年以内に妊娠しており、出産時の異常も多くない。

塞栓物質はPVAもしくはビーズ(エンボジーン;エンボスフィアと同じビーズと考えてよい。)で吸収されない塞栓物質が使用されている。

もう少しこの論文を熟読してから文章を続けようと思います。

子宮腺筋症に対してUAEを行い、妊娠出産に

>>先生またお世話になります。
>>宜しくお願いします。
>>腺筋症の方の希望になれば幸いです。
>>5歳になりました。
...
9年前に私が葉山ハートセンター在職中にUAE を行った患者さんがひょっこり調布に来院しました。子宮腺筋症の患者さんでした。今回腺筋症が再発したとの事。診察室に入る前にカルテを見ているうちに思い出したのですが、当時の病院長であった心臓外科の須磨久善先生からのご紹介患者さんで、UAEを行い腺筋症症状が改善したのみならず念願の妊娠そして出産にこぎつけたのです。出産は確か42歳か43歳の時です。5歳になる坊やの写真も見せてくれました。(FBに出してもOKまでいただきました。)

お産は私が信頼する先生に頼みました。高齢出産、腺筋症合併、UAE後というハイリスク妊娠出産です。癒着胎盤、胎児胎盤位置異常などの異常が多くなる可能性が高くなることも含めてお願いしたのですが、お産を受け入れてくれた産科医はそれ以前に私のUAEを見学に来てくれた先生でもあります。余談ですが私のUAEを見学に来てくれたのはどちらかというと放射線科医よりも産婦人科医の方が多いのです。

私の外来を受診される患者さんはどういうわけかのんびりとした方が多く、もちろん仕事や育児も理解できますが、2か月先とか3か月先、極端になると来年とか、筋腫そのものが命にかかわらないのはわかりますが、、、。様子を見て小さくなることはまずないのに、、。まあ患者さんの意思を尊重してはいますが。

UAEの利点の一つに腹腔内操作がないため癒着を作りにくく、再度可能であるということが挙げられます。

この方は受診されて即決断ー翌週施行予定ーされたのですから、腕💪によりをかけてUAEをしなくては(笑)!

東京都内5位に

2015年4月から2016年3月までの全国集計で子宮筋腫治療件数が259件で、東京都内第5位になりました。全国では19位でした。UAE件数では全国第1位でした。カテーテルも外科的治療もそうですがある一定の確率で合併症が起きます。数をこなせばそれだけ合併症に遭遇する可能性は高くなってきます。
私は医師1年目に麻酔科を研修しました。この時、指導医のK先生は私に

「一定の確率で合併症が起きるから仕方ないと思うな。10万いや100万例やっても合併症を起こさないつもりでやれ。」

30年以上たった今でもこの言葉は脳裏に刻まれています。

タイトルをクリックすると第1位から順に表示されます。

UAEの技術的成功率

UAEの技術的成功とは『左右の子宮動脈にカテ-テルを挿入し、塞栓物質を注入し得ること。』
と定義されています。
したがって100-200名に一人いるといわれている片側の子宮動脈欠損に遭遇した場合は、片側塞栓で終了するということになりますが、技術的には不成功になってしまいます。なんだかおかしいですね。また子宮動脈にカテーテルを挿入できたのはよいが子宮動脈の攣縮のため塞栓物質を入れることができなかった場合も技術的成功にはなりません。
また明らかに卵巣動脈から筋腫に栄養血管が来ているのに卵巣動脈を塞栓せずに両側の子宮動脈を塞栓すれば技術的に成功になりますが、筋腫は梗塞にならず症状は緩和しないこともあるわけです。
多くの症例をこなせば、子宮動脈の欠損にも遭遇し、技術的成功率は100%になりません。
また卵巣動脈塞栓が必要なケースは3-4%と言われていますのでUAEを100例経験しても卵巣動脈塞栓は3-4例しか経験しないことになります。
UAEを1000例経験すれば卵巣動脈塞栓は30-40例。UAEを3000例経験してやっと90-120例の卵巣動脈塞栓を経験するということになります。
そしてどこまで塞栓するのか?すなわちendpointといわれるさじ加減。教科書や論文にはendpointに関して書かれていますが、実際にはUAE後に造影MRIを撮って筋腫がきちんと梗塞になっていることを確認して、それが正しかったか間違っていたかがわかることなのです。筋腫の梗塞の程度が低ければさじ加減はあま過ぎるというわけです。つまりUAE後の造影MRIの所見をフィードバックして自分のさじ加減が良いのか悪いのかを勉強していくわけです。UAEの上達にはこの繰り返ししかありません。
UAEだけでなく手術も症例数が大事といわれる所以です。数は力なのです。
2014年にエンボスフィアという塞栓物質が保険適応になりUAEも保険でできるようになりました。
エンボスフィアでのUAEはやっと800例になったところです。

UAE後の妊娠

調布恵仁会クリニックでUAEを開始してから約8か月で2名の患者さんの妊娠報告を受けました。
UAE後に妊孕能がどのようになるのかはいまだにはっきりと分かっていません。
つまり妊娠しやすくなるのか、妊娠しにくくなるのか、変わらないのかがはっきりとわかっていません。ただ共通の認識として取れるものは取ったほうが良い。筋腫核出術を優先したほうが良いということです。実際の診療の場面では子供は欲しいがもう2人いるしできなくてもよい。まああと一人いてもいいかなという患者さんもいれば、子宮がなくなれば可能性は0になるのであくまで可能性を残したい、何としても欲しい、などと千差万別です。私は外来でこのあたりをしっかりと確認し適応を決めています。それからUAEの良いところ。それはUAE後3か月すれば妊娠してもよいということです。核出術の場合は多くが子宮の筋層を縫合しているのでしっかりとつくまで半年から1年の避妊期間を設けなくてはいけません。UAEの場合はこの必要はありません。UAE後1か月から妊娠してもよいと言っている医師もいるほどです。実際調布恵仁会クリニックでの妊娠例は半年以内と4か月以内でした。

ところで、妊娠希望者のUAEの場合は、妊娠に配慮したUAEを行っているのか?

の答えは Yes! です。

UAE医学公開講座と院内閲覧会

http://www.chofu-keijinkai.com/pdf/uae_shiminkouza2017.02.18.pdf

2016年のUAEは調布恵仁会クリニック(4月15日開院)として243例、府中恵仁会病院から通算すると328例を実施することができました。問題となるような合併症はありませんでした。感染による子宮全摘も0でした。UAE後の自然妊娠が1例でした。
1998年から通算すると2900症例を経験したことになります。塞栓物質はPVA,ゼラチンスポンジ、エンボスフィアすべてを経験しそれぞれのエンドポイントも体得。

2月18日(土曜)13:30から調布恵仁会クリニックにおいてUAE市民公開講座を行います。
講座終了後には院内閲覧会を開催し血管撮影室や病室を見学していただきます。


UAEの塞栓物質

UAEの塞栓物質にはPVA、ゼラチンスポンジ、エンボスフィアの3種類があります。どの塞栓物質を使用しても有効性は同じです。結局は塞栓物質の使い方次第、つまり術者の経験や技術に負うのです。私は1998年10月からUAEを開始、当初はPVAで行っていました。次にゼラチンスポンジに移行し2014年2月からはエンボスフィアが保険収載されたためエンボスフィアを主として使用しています。保険制度上、エンボスフィア以外は保健適応になりません。日本の保険制度に則り、普通に診療しているだけです。