東京都内5位に

2015年4月から2016年3月までの全国集計で子宮筋腫治療件数が259件で、東京都内第5位になりました。全国では19位でした。UAE件数では全国第1位でした。カテーテルも外科的治療もそうですがある一定の確率で合併症が起きます。数をこなせばそれだけ合併症に遭遇する可能性は高くなってきます。
私は医師1年目に麻酔科を研修しました。この時、指導医のK先生は私に

「一定の確率で合併症が起きるから仕方ないと思うな。10万いや100万例やっても合併症を起こさないつもりでやれ。」

30年以上たった今でもこの言葉は脳裏に刻まれています。

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UAEの技術的成功率

UAEの技術的成功とは『左右の子宮動脈にカテ-テルを挿入し、塞栓物質を注入し得ること。』
と定義されています。
したがって100-200名に一人いるといわれている片側の子宮動脈欠損に遭遇した場合は、片側塞栓で終了するということになりますが、技術的には不成功になってしまいます。なんだかおかしいですね。また子宮動脈にカテーテルを挿入できたのはよいが子宮動脈の攣縮のため塞栓物質を入れることができなかった場合も技術的成功にはなりません。
また明らかに卵巣動脈から筋腫に栄養血管が来ているのに卵巣動脈を塞栓せずに両側の子宮動脈を塞栓すれば技術的に成功になりますが、筋腫は梗塞にならず症状は緩和しないこともあるわけです。
多くの症例をこなせば、子宮動脈の欠損にも遭遇し、技術的成功率は100%になりません。
また卵巣動脈塞栓が必要なケースは3-4%と言われていますのでUAEを100例経験しても卵巣動脈塞栓は3-4例しか経験しないことになります。
UAEを1000例経験すれば卵巣動脈塞栓は30-40例。UAEを3000例経験してやっと90-120例の卵巣動脈塞栓を経験するということになります。
そしてどこまで塞栓するのか?すなわちendpointといわれるさじ加減。教科書や論文にはendpointに関して書かれていますが、実際にはUAE後に造影MRIを撮って筋腫がきちんと梗塞になっていることを確認して、それが正しかったか間違っていたかがわかることなのです。筋腫の梗塞の程度が低ければさじ加減はあま過ぎるというわけです。つまりUAE後の造影MRIの所見をフィードバックして自分のさじ加減が良いのか悪いのかを勉強していくわけです。UAEの上達にはこの繰り返ししかありません。
UAEだけでなく手術も症例数が大事といわれる所以です。数は力なのです。
2014年にエンボスフィアという塞栓物質が保険適応になりUAEも保険でできるようになりました。
エンボスフィアでのUAEはやっと800例になったところです。

UAE後の妊娠

調布恵仁会クリニックでUAEを開始してから約8か月で2名の患者さんの妊娠報告を受けました。
UAE後に妊孕能がどのようになるのかはいまだにはっきりと分かっていません。
つまり妊娠しやすくなるのか、妊娠しにくくなるのか、変わらないのかがはっきりとわかっていません。ただ共通の認識として取れるものは取ったほうが良い。筋腫核出術を優先したほうが良いということです。実際の診療の場面では子供は欲しいがもう2人いるしできなくてもよい。まああと一人いてもいいかなという患者さんもいれば、子宮がなくなれば可能性は0になるのであくまで可能性を残したい、何としても欲しい、などと千差万別です。私は外来でこのあたりをしっかりと確認し適応を決めています。それからUAEの良いところ。それはUAE後3か月すれば妊娠してもよいということです。核出術の場合は多くが子宮の筋層を縫合しているのでしっかりとつくまで半年から1年の避妊期間を設けなくてはいけません。UAEの場合はこの必要はありません。UAE後1か月から妊娠してもよいと言っている医師もいるほどです。実際調布恵仁会クリニックでの妊娠例は半年以内と4か月以内でした。

ところで、妊娠希望者のUAEの場合は、妊娠に配慮したUAEを行っているのか?

の答えは Yes! です。

UAE医学公開講座と院内閲覧会

http://www.chofu-keijinkai.com/pdf/uae_shiminkouza2017.02.18.pdf

2016年のUAEは調布恵仁会クリニック(4月15日開院)として243例、府中恵仁会病院から通算すると328例を実施することができました。問題となるような合併症はありませんでした。感染による子宮全摘も0でした。UAE後の自然妊娠が1例でした。
1998年から通算すると2900症例を経験したことになります。塞栓物質はPVA,ゼラチンスポンジ、エンボスフィアすべてを経験しそれぞれのエンドポイントも体得。

2月18日(土曜)13:30から調布恵仁会クリニックにおいてUAE市民公開講座を行います。
講座終了後には院内閲覧会を開催し血管撮影室や病室を見学していただきます。


UAEの塞栓物質

UAEの塞栓物質にはPVA、ゼラチンスポンジ、エンボスフィアの3種類があります。どの塞栓物質を使用しても有効性は同じです。結局は塞栓物質の使い方次第、つまり術者の経験や技術に負うのです。私は1998年10月からUAEを開始、当初はPVAで行っていました。次にゼラチンスポンジに移行し2014年2月からはエンボスフィアが保険収載されたためエンボスフィアを主として使用しています。保険制度上、エンボスフィア以外は保健適応になりません。日本の保険制度に則り、普通に診療しているだけです。

恵仁会病院でのUAEが1000例になりました!

本日で府中恵仁会病院(2016年4月15日からは調布恵仁会)でのUAE症例が1000例になりました。手技による大きな合併症はなく、術後感染による子宮全摘は1例のみ(0.1%)、技術的に子宮動脈へのカテ-テル挿入が不可能であった例は0でした。
安全第一ということでは満足のいく結果でした。

UAEで重要なのは適応です

子宮筋腫に対するUAEは20年以上の歴史があり、評価も定まった治療法です。
方法は左右の子宮動脈から塞栓物質を流し込むだけ。きわめてsimpleです。
ただしsimple=easyというわけではありません。

大切なことは適応です。 おおまかに

症状のある子宮筋腫が治療の対象となる。 腹部のしこりも症状である。

1)あまりに巨大なものは摘出したほうがよい。(だいたいへその高さくらいまでなら適応。)

2)粘膜面に接する筋腫の場合、未産婦なら8cm、経産婦なら10cmくらいまでが安全。もちろんこれよりも大きなものでも適応にすることがある。粘膜面に接しているかどうかはMRIで容易にわかることが多い。

3)挙児希望の場合はUAEよりも核出術がよい。妊娠出産には筋腫は取ったほうがよい。ただし筋腫を取らなくても妊娠、出産している例はたくさんある。

子宮筋腫を指摘されて、「経過を見ましょう。」と言われている患者さんは多いと思いますが、UAEが選択肢にないと次にくる言葉は「そろそろ手術しましょう。そろそろ取りましょう。」なのです。