卵巣動脈付加塞栓は有意に卵巣機能低下を起こさない

子宮筋腫のUAEでまれに卵巣動脈も塞栓しなければならないときがあります。卵巣は主に卵巣動脈から栄養されているので卵巣動脈塞栓を行うと、通常の両側子宮動脈塞栓よりも卵巣機能が低下してしまうのではないかと理論上は危惧されます。

私の経験上は卵巣動脈付加塞栓を行っても有意に卵巣機能は低下しませんでした。

2011年の5月にJournal of Vascular and Interventional Radiologyという医学雑誌からこれを支持する論文が出ました。


Menopause and Menopausal Symptoms after Ovarian Artery Embolization: A Comparison with Uterine Artery Embolization Controls
    (卵巣動脈塞栓後の閉経・閉経症状:子宮動脈塞栓との比較検討)
 
                    Conclusions


Compared with standard UAE, the addition of OAE does not appear to precipitate the onset of menopause nor increase menopausal symptom severity.
(通常の子宮動脈塞栓術と比較して卵巣動脈付加塞栓が閉経・閉経症状を引き起こすということはない。)


この論文によると平均年齢がほぼ同じである、51名のUAE+卵巣動脈塞栓と49名のUAEを比較してみたところ、卵巣機能低下症状の出現率には有意差を認めなかったということです。
 
私はUAEを行う患者さんの卵巣機能の指標としてFSH、LH、E2は必ず測定しているのですが、卵巣動脈付加塞栓を行った患者さんが有意に卵巣機能低下を起こしていませんでした。
 
私は以前、卵巣動脈付加塞栓を行ったUAE症例の卵巣機能について学会で報告したことがあります。 http://home.netyou.jp/aa/uae/newfile16.htm
 
欠点としては、当たり前なのですが手技時間が長くなり透視時間も長くなるということなのですが、卵巣動脈付加塞栓でも16分程度の透視時間なので問題にならないと考えていました。
 
今回の論文でも、通常の子宮動脈塞栓を行った場合の平均透視時間が14分で子宮動脈塞栓に卵巣動脈塞栓を付加した場合20分と多少延長していますが、問題にしていません。
 
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