良性疾患での子宮摘出は腎細胞癌リスクを高める

衝撃的と同時に、ホンマかいな?と思ってしまう報告があります。

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/21149759


子宮筋腫などの良性疾患で子宮摘出術を受けた女性を術後長期にわたって追跡した集団ベースのコホート研究で、子宮摘出術を受けた女性では、子宮摘出を受けていない女性に比べて腎細胞癌リスクが50%上昇するというのです。

良性疾患により子宮摘出術を受けた184945人を追跡調査したところ、腎細胞癌の粗罹患率は、子宮摘出術を受けた女性において10万人年あたり17.4人であり対照群で13.1人であり有意差を認めたというものです。さらに腎臓癌リスクが最も高かったのは、44歳以下で子宮摘出術を受けた女性の術後10年間だったということです。
子宮摘出術の術式については、腹式子宮全摘術を受けた患で最も高く、一方、膣式子宮摘出術を受けた患者では低く、リスク上昇は有意ではなかったということです。

なぜ子宮摘出後に腎細胞癌が発生しやすいのかについては不明ですが、摘出時の外科的操作によって尿管によじれや狭窄が起きた結果により発生しやすくなるとこの論文では推定されていますが、正直、へぇー?!という感想です。


子宮摘出群では206万1556人-年の追跡で357人(0.20%)が、子宮摘出されていない群では763万1824人-年の追跡で995人(0.15%)が、それぞれ腎細胞癌と診断されていたとされています。
この論文によると子宮摘出術を受ける女性が多い米国のような国では、腎細胞癌リスクの50%上昇は公衆衛生学的に大きな影響をもたらしている可能性があるということです。
平たく言うと44歳以下では癌でもない限り開腹子宮全摘はしないほうがよい。するのであれば膣式でということになります。


10万人のうち17〜18人、つまり5000〜10000人に1人の確率ですからリスク・ベネフィットを考えるとたいしたことはないと思います。 
 
でも一応知っておくべきことかもしれません。