UAEが“できる”とは

UAEの適応になるかならないかは患者さんの希望もありますが、MRI所見がきわめて重要です。
外来患者さんの7割以上は筋腫は多発しており筋腫が一つだけというのは多くありません。
まず大きさですが6cm以下であれば粘膜下、もしくは筋層内で一部粘膜面に露出していてもsloughingになりにくので良い適応です。 例えば6cm、5cm、3cm、以下小さいものが多数あるといった場合はとても良い適応になります。 粘膜下筋腫に関しては未産婦の場合は最大筋腫核は8cmまで、経産婦の場合は10cmまでと自分なりの基準を設けています。明らかにしょう膜下筋腫、筋層内筋腫でも粘膜に露出していない場合であれば10cmを越えていても安全に出来ます。
もちろん目の前のMRI画像で筋腫であるとは100%断言できません。今までの経過、血液データを総合して子宮の腫瘍は良性の平滑筋腫だろうという上で治療を行います。例えば、ここ2-3ヶ月で急に筋腫が大きくなったとか、血液データでLDHという酵素が異常高値を示した場合は筋腫ではないかもしれないと疑います。 またMRIでの筋腫(と考えられている腫瘍)の変性が強い場合も悪性の可能性を常に考慮します。
欧米からのデータは極めて正確で、感染のため子宮全摘になる場合は0.34%とされています。
つまり1000人に3-4人は感染のために子宮全摘になるということです。私は約2000症例を経験しましたが、UAE後に感染して子宮全摘となった例はいままで確認されているもので2例あります。
また合併症として重篤になるものに肺塞栓症があります。私がUAE後の穿刺部の圧迫時間が2時間と短かく、その後はベッド上で体動を自由にさせるのは肺塞栓症を起こさないためです。輸液も十分にします。それでも今までに1例を経験しています(0.05%)。このように0コンマ数%という合併症の発生を常に想定して、起きた場合の処置も迅速に行いえて、かつUAEの適応から手技、手技後の管理と一貫して行いえて、初めてUAEが“できる”と言えるのです。