エンボスフィアでの子宮動脈塞栓術(1)

2月に入りエンボスフィアでのUAEを2症例を続けて施行しました。いずれも多発性子宮筋腫の患者さんです。

2月某日午前。術者は私。助手は東府中病院副院長の浅野先生。セルジンガー法による右大腿動脈アプローチにて毛利型カテーテルで骨盤動脈造影を施行。そのままループを形成して右子宮動脈に選択的に挿入、造影。マイクロカテーテルを併用し先端を子宮動脈水平枝から上行枝まで挿入。エンボスフィア500-700μで塞栓開始。腫瘍濃染像が消えかかる時点でエンボスフィア700-900μで塞栓。arcuate arteryが消えかかる時点で抗生剤を添加した少量のゼラチンスポンジで塞栓。子宮動脈上行枝が造影されなくなる程度で塞栓終了。おなじ操作を左子宮動脈に行い最後に骨盤動脈造影で左右の子宮動脈の閉塞を確認して手技を終了しました。エンボスフィアはゆっくりと血流にのって末梢に運ばれるのでend pointを誤らないように確認造影を何回か施行しました。このためどうしても日頃やりなれているゼラチンスポンジでのUAEより透視時間が長くなってしまいます。患者さんへの被曝を低減するために技師さんには線量を落としてもらい、パルスも最低限にしていただきました。エンボスフィアは欧米諸国をはじめとして世界70か国で施用されている塞栓物質ですが私にとっては初めての塞栓物質です。おそらく日本ではほとんどの医師がいまだ使用したことがないはずです。万全を期すために事前に米国でエンボスフィアを使用してUAEを行っている医師と国際電話で使用感をについて話し合い、当日は日本化薬の学術担当者に来院して頂きました。
おかげさまで2例共に透視時間10-20分程度で終了。術後の経過も良好で疼痛コントロールも良好です。ゼラチンスポンジのみのUAEとはどう違うかも今後見極めていきたいと思います。15年前に私はPVAでスタートしました。これでゼラチンスポンジ、エンボスフィアと塞栓物質はすべて経験したことになります。関係者各位に感謝いたします。