痛みが少ないエンボスフィア

エンボスフィアを塞栓物質としたUAEは100症例を越え、UAE総症例数は2340例となりました。2014年は9月で100例を突破したのでこのままのペースでいけば本年は130~140例になると見込まれます。例年は100例どまりであったのですがこの症例の伸びはUAEに使用される塞栓物質であるエンボスフィアが保険適応となったことが大きな要因であることは言うまでもありません。ところでエンボスフィアは500-700μのサイズを使用します。筋腫周囲の血管網はperifibroid plexusと呼ばれ平均650μであることが知られています。一方utero-ovarian anastomosis,cervico-vaginal branchの血管径は500μ以下ですので500-700μのサイズを使用すれば理論的には筋腫だけを塞栓することができます。エンボスフィアでのUAEの痛みが少ないのはこのためです。エンボスフィアは時間とともに血流に流されて末梢に移動しますがこの血流が生理的なものでなくカテーテルにより妨げられていればカテーテルを抜いた後、末梢に移動し塞栓不足になります。また時間とともに末梢に移動するのでエンドポイントを決めにくい場合があります。これらは経験はもとより手技、血管造影像、術前術後のMRI画像をよく検討し、結果をフィードバックすることにより解決できます。本年2月にエンボスフィアが保険収載され約半年程度で100症例を経験することができました。この程度経験すると指先に感覚がうずくようになります。エンボスフィアは私にとってもはや未知の塞栓物質ではなくなりました。