大阪にてUAE施行



大阪にある病院に招聘されてUAEを行ってきました。 前もってMRIはCDで送っていただき適応を決定しており、UAE手技がどうなるかはイメージしていました。エンボスフィアを塞栓物質としたUAEもここ1年で230例を越えていわゆる“慣れて”きた頃になります。自動車の運転もそうですが、“慣れて”きたころが危なく、事故を起こします。 また新幹線で往復するわけですが、大阪観光ではなく施術です。行きの新幹線では車中でコーヒーだけにして早めに大阪入り、病院のそばで昼食を取り、予定手術時間より30分以上早く病院入りしました。自分の病院であれば血管造影装置からカテーテル、ガイドワイヤー、シリンジ、シャーレ、薬剤等に至るまで使い慣れたものがあり、何が起きても即座に使用できる状況下ですが、他院となるとそうは行きません。サッカーで言えば『away』での戦いと言うことに成ります。 UAEの進み具合を車中でイメージしているうちに名古屋、京都とあっというまに大阪着です。 早めに血管造影室入りをさせてもらい、血管造影装置からカテーテル、手術用手袋!に至るまでできるだけ詳細にチェックさせてもらいました。手術台の高さ調整やIIの高さ、角度などの調整は機種によって扱いが微妙に違ってきます。フットスイッチも微妙に違います。施術をイメージしながらできるだけチェックする、競技スキーで言えばインスペクションに当たりオーケストラではゲネプロに当たります。 技師さんには透視条件を7.5パルスに設定してもらい、手技を無事終了させることができました。モニターでの見え方が若干いつもの装置とは違ったため、確認造影を多めに行いましたが、1時間程度で手技は終了。筋腫がやや大きかったためエンボスフィアは平均の1.8倍ほど使用しましたが造影剤量、透視時間も想定範囲でした。 翌日には主治医の先生に電話をして患者さんの常態が落ち着いていることを確認しました。 皆様お疲れ様でした。




子宮筋腫に対するUAE

子宮動脈塞栓術(UAE)でもっとも大切なのは適応です。UAEの手技は左右の子宮動脈にカテーテルを挿入し、塞栓物質を流し込む。極めてシンプルです。たったこれだけのことです。ほとんどの女性が右と左にそれぞれ1本の子宮動脈があります。私は外来で患者さんに『UAEそのものはどうって事はありませんよ。大切なのはUAEをして患者さんがよかったと思うこと。つまり適応なんです。』とお話しています。ではどういった子宮筋腫が適応外なのか。 1.挙児希望で核出術が可能、もしくは核出術が妊娠出産に有利と思われる例 2.症状の乏しい子宮筋腫 3.大きすぎる筋腫(おおよそへその高さぐらいまでなら適応内) 4.10cmを越える粘膜下筋腫もしくは筋層内筋腫で粘膜面に近いもの(未産婦の場合は8cm) 5.LDHが高値で変性が著明な腫瘍 6.手術適応の付属器腫瘤がある などです。 上記にしたがって診察をした結果、2014年度は約320名の初診患者さんに対して196名にUAEを行いました。つまり60%がUAE適応と言うことになります。 初診患者さんはほとんどの方が他院で子宮筋腫と診断され、手術を勧められていました。この場合の手術とは全摘ですので子宮全摘と言われた患者さんの6割がUAE適応になる。裏を返せば4割は適応外ということになります。